日本語学校は、法務省留学告示別表第1に掲載されることで設立されます。具体的には地方入国管理局(以下、「入管」)に申請をし、文部科学省による教育内容などの確認をクリアして認定されます。
日本語学校を新たに作りたい場合には、開校予定日の少なくとも1年前には開設の申請をする必要があります。その他、既にある日本語学校の経営権等を譲り受けて日本語学校の経営に参加する方法もあります。
目次
スケジュールや手続き等
1.開校したい年月の決定
・新規設立の場合、開校月は4月と10月のどちらかを選ぶことができます。
・校舎備品等の準備、教員の確保、当面の運営資金の確保
2.相談受付(事前相談)
・開校したい月の1年以上前に、地方出入国在留管理局に事前相談の訪問をします。
3.提出資料作成
・所定の様式等にしたがって不備のない提出書類を準備します。
4.入管への提出資料等の提出
・地方出入国在留管理局で、書類の形式的確認がなされ、不備がなければ受付処理がなされます。
・特に教育内容に関する書類作成は重要です。
5.実地訪問
・地方出入国管理局の職員が、校舎に来て、提出資料の記載内容が正しいかを確認します。
6.文科省・文化庁による聞取り調査
・日本語学校の経営体制や運営計画、教育内容などについて確認されます。
・聞取りの時間は、3時間程度が標準です。教育内容については突っ込んだ質問がなされます。
7.告示
・4月枠申請→11月上旬ころ、10月枠申請→5月上旬ころに、申請の結果が分かります。
・官報への掲載は、4月開校の学校は2月、10月開校の学校は8月に掲載されます。
8.留学生の受入れ・開校
・入学予定留学生の在留資格認定証明書(COE)交付申請を行います。
・留学生は開校時期に合わせて入国し、入学式やガイダンスを経て、通常授業に移行していきま
す。
新規設立に求められるもの(主なもの)
〇設置者(=運営主体)
運営主体には、ほぼ制限はありません。法人でも個人でも(地方公共団体でも)運営が可能です。
〇土地・建物
校地・校舎は自己所有が原則です。
〇教員等
学校長、教員、生活指導担当者などが必要です。
※ 日本語教師には、教師要件があります。
〇運営資金等
最低でも1年分の運営資金(人件費など)が必要です。
〇カリキュラム(教育課程)
カリキュラムは最重要事項です。進学の場合にはJLPTなどを参考にしたカリキュラムが必要です。
〇生徒数(定員)
新規設立時の定員は最大でも100名までです。
設立に当たって注意すべきこと
経営収支の確認
日本語学校の収入は、生徒からの納付金のみとなります。
一定の要件を満たせば、将来的に生徒数増員が可能ですが、教室数や教員数の確保が必要です。
留学生の入国は政策的影響をとても受けるので(ex.新型コロナ感染症)、余裕のある資金計画を
心がけましょう。
カリキュラムや教員の質
「高い教育水準レベルをもつ日本語学校は、経営が安定している」というのが私の印象です。その
ためには、十分に練られたカリキュラムと、質の高い日本語教師の存在が重要です。
留学生の在留管理
日本語教育機関には、実質上留学生の在留管理に関する責任が課せられています。一旦失踪留学生
を出してしまうと、経営的に大きな打撃を受けます。その反面、入管や警察は援助してくれません。
その予防策は何といっても入学選考時に質の良い留学生のみを選ぶことです。学習意欲や将来の
展望、母国での学習状況、家族の経済状況などを総合的に判断してください。
各種変更手続きについて(主なもの)
日本語学校設立された方にまずお伝えしたいこと
日本語学校の運営が始まると、入管への様々な報告が必要となります。その場合、告示基準や入管
からの指示・通知などを確認しながら手続きを進めていくことになりますが、「自校にとって有利と
なる解釈」は意識的に避けるようにしてください。たいていの場合その期待は裏切られます。
入管は、学校の経営面などは考慮せず、あくまで在留管理を中心として物事を判断することが一般
的です。ときには、日本語学校側の法的知識の乏しさに乗じて、法律違反すれすれの指導をすること
さえありますのでご注意ください。
教員の変更
日本語学校の運営している中で、一番頻繁に生じる変更手続きです。
教員の要件、指導期間(主任)、担当時間数などの項目に留意しましょう。
※届出時期
「教員等に変更があったとき、その変更内容を速やかに…報告」とされていますので、可能な限り
はやく報告してください。実際のところ、常識的な期間内(変更後1カ月~2カ月内程度?)の届出が
無難だと思います。
増員申請
定員数に対する現在の在籍者数などの要件を満たせば、現在の定員数の1.5倍まで定員を増やすこと
ができます。併せて、教員数や教室数が条件を満たしているか等を確認します。
新コースの設立(教育課程の変更)
1月や7月にも留学生の受入れをしたい場合には、教育課程変更の届出を行います(まだ適正校
に選定されたことのない新規校の場合には、修業始期を増やすことはできません)。
カリキュラムを中心とした多くの書類を提出することになります。
この手続きは文科省への確認がなされるため一般的に不許可となる場合が多いものです。
また、確認期間が長いため、コース新設許可を楽観的に捉えた事業計画は避けた方が無難です。