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令和7年度第1回認定結果

2025年10月31日に、令和7年度第1回申請の認定結果が発表になりました。

・申請機関総数:74機関(内訳 留学:73、就労:1、生活0)
       (告示校:34、大学別科:1、その他:39)

・認定された機関数:23機関(内訳 留学:22、就労:1)
       (告示校:7、大学別科:0、その他:16)

・審査中に取下げをした機関:51

新規校は39機関のうち16機関が認定(約4割)、告示校は34機関のうち7機関が認定(約2割)という結果となっています。

審査中に取下げた機関が51機関(約7割)となっていますが、これは事前相談後に本申請をした機関中の取下げ件数なので、事前相談を行ったが本申請しなかった(できなかった)機関数を考えると、認定率はもっと少ないことになると思います。

特に告示校については、令和6年度第1回で7校、第2回で5校、令和7年度第1回で7校という認定結果なので、現時点で19校の認定に留まっている状況にあります。
一時期は800校を超える告示校が存在していましたので、残りの申請機会にそれらの学校が申請をすることになるとすると、どういった状況になるのか非常に心配です。

告示校が認定申請を進められない理由

告示校が認定申請をなかなか進めない(進められない)理由を考えると、
①カリキュラム関係の学習・準備が間に合わない
②コロナ禍に影響された財務関係の要件充足ができていない
といったことが考えられます。

①カリキュラム関係

 ①のカリキュラム関係については、文科省なども積極的に説明会やセミナーなどを開催し、どういったカリキュラムを編成してほしいかについて沢山の情報を発信しています。新制度開始時に比べて、「日本語教育の参照枠」をベースにしたカリキュラム編成のツールもたくさん紹介されているので、しっかりと整理してまとめ上げていけばある程度の形に仕上げられるようになってきたと思います。ただ、そのツールが色々なところに散らばっている印象なので、今後はそれも文科省が交通整理してどういう順番でどのように組み立てていくかを示してほしいと思います。
 弊所でも認定申請の支援を行っていますが、特にこの部分は学校様に作成していただいております。「日本語教育の参照枠」は日本語教育学会等が世界標準の日本語教育像として構築してきた内容ですから、これからの日本語学校が身に付けるべきものですし、さらには健全な日本社会構築に資するものだと思います。そのカリキュラムに教育方針・内容が具体化されるわけですから、教育内容に関する憲法のような存在になります。
 そういった大事な部分なので、どこかの業者が用意したカリキュラムを使用するのではなく、多少大変ではありますが、独自に作成していただきたいと考えています。そして、それがヒアリング対策にも直結することになります。

②財務関係

 ②の財務関係については、現状の運用では明らかに告示校が不利になっています。
 ある程度の規模で経営をしてきた告示校ほどコロナ禍の影響が大きく、それが財務状況に反映されている学校もあります。
 留学生の入国制限など学校の経営努力とは関係のないところの問題が、新制度への移行申請に影響するのは非常に不公平な運用ではないかと考えています。この点については、形式的・杓子定規的な決算書による評価だけでなく、そういった状況下にある学校に関しては別の評価基準を設けるか、5年間の移行猶予期間を延長するなどの対策が必要ではないかと思います。
 もちろん、告示校であっても不適切な運用を故意に行ってきた学校などは淘汰されるべきだと思いますが、今のままでは優良な運営・経営を続けてきた学校まで不公平なふるいにかけられるおそれがあるので、文科省にはこの点に関する対応策もぜひ考えていただきたいと思っています。