法務省告示基準第1条1項45号に規定された「告示基準適合性に関する報告書」に基づき、2020年9月ごろから入管による実地調査が行われています。
 初めて運用される制度であるため、どういった内容で実施されるのかをお伝えいたします。
本稿が、少しでも皆様の不安を解消できたら幸いです。

1.実地調査の連絡・事前準備

一般的に、実施日の凡そ2週間から3日前までの間に、地方入管より実施日日時や事前準備書類の連絡が入ります。準備書類の一例は以下のようなものです(原則1年分)。
 ・クラス別時間割
 ・学則
 ・在籍者名簿、出席簿
 ・教職員名簿、出勤簿
 ・教室図面
 ・オリエンテーション配布資料
 ・生活指導記録
 ・資格外活動把握記録
 ・進路指導記録
 ・募集要項
 ・入学選抜状況が分かる書類
 ・経費支弁能力確認書類
など。

適正な運営を行い、変更事項の届出を定期的に行っているなら、その資料を基に準備すれば大丈夫です。

2.当日の確認内容

来校する入管職員:3~4名来校
滞在時間    :2時間程度
確認内容    :・教室や学校施設の確認と写真撮影
         ・教員リストと出勤簿の照らし合わせ
         ・在籍者出席簿等の確認
         ・退学者の資料        など
※ 退学者の資料については、おそらく不法在留者関係と考えられますので、資料の提示を求められた場合にも速やかに対応できるように準備しておくことをお勧めします。

3.指摘事項

実地調査中に、入管職員から質問があります。
私が立ち会った学校の場合、①「休職中の教員を教員リスト(様式8-2)に分かりやすく記載すること」等の改善を求められました(→教員変更届への休職者の記載方法については特段の定めがありませんが、より分かりやすくしてほしいとの要望)。また、②保健室折り畳みベッドについて、お布団の所在についての確認などもありました。

私のお付き合いのある学校ではありませんが、①年間授業時間数に関する指摘(学則の定めと実施された時間数が合わないなど)や、②校長先生の資格要件に関する指摘を受けた学校もあるようです。

4.まとめ

 日本語学校に関しては、告示校となれば(新規設立してしまえば)、その後はほぼノーチェックという状況が長い間続いていましたため、教育機関とは程遠い実態の社会的に問題視される学校も存在しています。
 そのような中での入管による実地調査は、不正な運営を行う学校を是正するという観点では歓迎すべきことだと思っています。
 私は昨年に引き続き、本年も実地調査への立ち合い等を予定しておりますので、新たにお伝えすべきことが加わりましたらお伝えする予定です。
 新規校から開設後4年程度までの学校においては、告示基準の内容や報告事項に関して良く分からないことも多いと思いますし、新型コロナの影響も収まらない中、多くの不安を抱えながら運営を行っている学校も少なくないと思います。
その様な不安を少しでも軽減できますように、微力ながら支援させていただきます。